見つけたのもAIだった。攻撃側の話を書いた2日後に、逆側が出てきた

PHPの脆弱性を最初に見つけたのはAIでした。過去10年のすべてのPHPが対象で、WordPressでの実証も済んでいます。

この記事の結論

  1. 発見したのはAI。2026年8月19日、公開の2か月前
  2. 過去10年のすべてのPHPが対象。5.4まで遡る
  3. WordPress・Drupal・Joomla で実証済み。アプリのコードは関係ない
  • 発見したのはAI。2026年8月19日、公開の2か月前
  • 過去10年のすべてのPHPが対象。5.4まで遡る
  • WordPress・Drupal・Joomla で実証済み。アプリのコードは関係ない

2日前、攻撃側がAIを使っているという記事を書いた。日本企業を狙った侵害で、AIの自律型侵入テストが確認されたという調査だった。

その2日後に逆側の話が出てきた。

今回のPHPの脆弱性を最初に見つけたのもAIだった。

発見の経緯

セキュリティ企業Wizの研究チームが、時系列を公開している。

日付出来事
2026年8月19日AIを使って最初の脆弱性を発見
8月20日Drupalに対して認証不要のコード実行を確認
8月21日WordPressでも確認
8月24日PHPのセキュリティチームへ報告
9月21日PHP側が協調した修正の開発を開始
10月21日修正版の公開と、内容の公表

発見から公開まで63日。報告からでも58日ある。

その間、世界中のPHPは直っていなかった。だが攻撃者も知らなかったということになる。

使われたAI

Wizの研究では3つが使われている。

  • Wiz Atlas — 同社が作った脆弱性研究用の道具
  • Gemini 4 Argon(Google) — 発見、攻撃コードの作成、検知、修正の検証に「計り知れない貢献をした」とされている
  • GPT-5.6 Sol(OpenAI) — 研究を支える道具として

別の経路もあった。Califというセキュリティ企業が、OpenAIのGPT-5.6 Solを使って独立に同じものを見つけている。こちらはOpenAIの「Patch the Planet」という取り組みの一環とされている。

別々の2者が、別々のAIで、同じ穴に辿り着いた。ここが重い。

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対象は、思っていたより広い

Wizの記述がはっきりしている。

過去10年に公開されたすべてのPHPのバージョンが、これらの脆弱性の少なくとも一方の影響を受ける。バージョン5.4まで遡る。

5.4が公開されたのは2012年だ。Wizは「過去10年」と書いているが、実際には14年分になる。

昨日、修正版が出る前の記事で、こう書いた。対象の一覧に載らないのは安全だからではなく、調べていないからだと。

そのとおりになった。公式の修正版は8.2以降にしか出ていないが、影響そのものは10年分ある。

だから古いPHPに独自の修正を作ると書いた会社の話が、ここに繋がってくる。公式が直さない範囲が、これだけ広いということだ。

実証は、よく使われているものに対して行われた

Wizは最新のコンテナイメージに対して、認証不要の遠隔コード実行を実証している。

  • WordPress
  • Drupal
  • Joomla

そして重要な一文が添えられている。

すべての攻撃はPHPエンジンのレベルで動作し、アプリケーションのコードとは無関係である。

プラグインを減らしても、テーマを変えても、関係ない。PHPそのものの話になる。

個人のサイトでやる対策は最小限の5つにまとめているが、今回はそこでは防げない。PHPを上げるか、提供元が直すのを待つかになる。

「防御側の窓」という言葉

OpenAIの発表に、覚えておきたい言い回しがあった。

我々の知る限り、先端のAIが攻撃者よりも先にこれらの脆弱性を見つけた。それによって、保守する側とセキュリティ提供者が公表に先立って修正と防御を準備するための「防御側の窓(Defender’s Window)」が開いた。

63日の非公開期間が、この「窓」にあたる。

その間にPHP側は修正を作り、事前にパッチを受け取った提供元は準備ができた。だから公開の当日に、各社が動けている。

見つけたのが攻撃側だったら、この窓は無かった。

ただし、窓は閉じる

公開した瞬間に、情報は全員のものになる。

実際、公開から数時間で悪用できると主張するコードが出回り始めたと報じられている。

2日前の記事で引用した指摘を、もう一度置いておく。

AIによる自動化を前にすると、CVSSの優先度は関係ありません。やられるか、やられないか、のどちらかです。

見つける側が速くなったぶん、使う側も速い。窓の長さは変わらない。

「今後数か月で急増する」という予測

OpenAIは、こうも書いている。

このPHPの欠陥は、我々がすでに見つけ、修正に取り組んでいるいくつかの重大な脆弱性のひとつであり、同様の発見が今後数か月で急激に増えると予想している。

まだ他にもあると言っている。

これは良い知らせなのか

両方だと思う。

良い面困る面
攻撃者より先に見つかる更新の頻度が上がる
直してから公表できる毎回が緊急になる
古い穴が掘り出される古い環境の使用期限が、急に切れる

3つ目がいちばん効くと思う。

今回、2012年の版まで遡って影響が確認された。長く使っていたから安全だった、という理屈は成り立たない。誰も調べていなかっただけだった。

先週脆弱性の公表が2.4倍になった話を書いたが、増えている理由の一部はこれだったことになる。

読む側として、何が変わるか

やることは変わらない。優先順位が変わる。

  1. 更新を後回しにできる前提が崩れた。古いものが掘り出される
  2. 「使い続けていて問題なかった」は根拠にならない。調べられていなかっただけかもしれない
  3. 提供元が何をしているかを、見るようになる。自分で直せない部分が増える

3番目は今回はっきりした。PHPエンジンの穴は、利用者には塞げない。できるのは、塞いでくれるところを選ぶことだけになる。

まとめ

  • 発見は2026年8月19日。WizがWiz Atlas・Gemini 4 Argon・GPT-5.6 Solを使用
  • Calif も GPT-5.6 Sol で独立に発見。別々の2者が同じ穴へ
  • 8月24日にPHPへ報告、10月21日に公開。63日の非公開期間
  • OpenAIはこれを「防御側の窓」と呼んでいる
  • 過去10年のすべてのPHPが対象。5.4まで遡る
  • WordPress・Drupal・Joomlaの最新イメージで実証済み
  • 攻撃はPHPエンジンのレベル。アプリのコードは無関係
  • OpenAIは「同様の発見が今後数か月で急増する」と予測
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出典

  • Wiz「PHP2Shell: AI uncovers critical RCE vulnerabilities affecting 70% of the Internet」(発見の時系列、使用したAIモデルと役割、影響を受けるバージョン範囲、WordPress・Drupal・Joomlaでの実証、PHPエンジンのレベルで動作すること。引用の日本語は筆者による訳)
  • OpenAIの発表(2026年10月21日。「Patch the Planet」、Califによる発見、「防御側の窓」、今後の予測)。内容はCyberScoopほかの報道で引用されたものによる
  • PHP「Security advisory」(修正版、対象、公式の緩和策)

本記事は2026年10月22日時点の公表内容に基づく。公式の修正版が提供されるのは8.2以降であり、それ以前のバージョンの扱いは利用している環境や提供元によって異なる。必ず公式のアドバイザリと、利用しているサービスの告知を確認すること。本記事は法的な助言ではない。

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北海道のWEB屋

北海道を拠点に、Web業界14年・サポート実績1,000件以上。WordPressの復旧、サーバー移転、独自ドメインとメールの設定、PHP・JavaScriptの修正まで対応します。相談と見積もりは無料です。

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