漏れたものの一覧は出てこない。自分が何を置いたかは自分しか知らない
お名前.comのデスクトップクラウドで、利用者のサーバーに不正なプログラムが置かれました。これまでの漏えいとは性質が違います。

この記事の結論
- 漏れたのは事業者のデータベースではない。利用者のサーバーの中身
- だから「漏れた項目の一覧」は出てこない
- サーバーは止められている。中に入って確認できない
- 漏れたのは事業者のデータベースではない。利用者のサーバーの中身
- だから「漏れた項目の一覧」は出てこない
- サーバーは止められている。中に入って確認できない
GMOインターネットが、お名前.com デスクトップクラウドへの不正アクセスを公表した。
影響の可能性があるのは26,739件のサーバー。全プランが10月21日4時から順次停止されている。
今月、漏えいの記事をいくつも書いてきたが、これは性質が違う。そこを先に書く。
何が起きたか
公式の文はこうだ。
一部のお客様のサーバー環境において、不正なプログラムが設置されたことを確認いたしました。これにより、サーバー内に保管されている情報が閲覧された可能性があります。
設置が確認されたのは10月20日。翌21日の4時から停止が始まっている。
個人情報の漏えいや悪用は現時点で確認されていないとされ、決済情報は同社で保持していないとも書かれている。
これまでの事案と、どこが違うか
今月書いてきたものは、だいたい同じ形だった。
| いつもの形 | 今回 |
|---|---|
| 事業者のデータベースが読まれた | 利用者のサーバーが見られた |
| 事業者は何が入っていたか知っている | 事業者は中身を知らない |
| 「氏名、住所、電話番号」と項目を出せる | 項目を出せない |
| 件数を項目ごとに割れる | 割れるのはサーバーの台数だけ |
同じ日に書いたカーセンサーの件では、公式が項目ごとに件数を割って出していた。「氏名と住所が317万件、電話まで出たのは799件」という形で。
今回それはできない。サーバーの中に何を置いていたかは、借りている人しか知らないからだ。
だから「自分は何を置いていたか」を自分で洗い出すところから始まる。これが今回いちばん面倒な点になる。
用途を考えると、かなり重い
このサービスはFXの自動売買ツールを動かす用途でよく使われている。
24時間動かし続ける必要があるので、自分のパソコンではなくクラウドのサーバーに置く。その発想自体は正しい。
ただしそのサーバーの中には、こういうものが置かれていることが多い。
- 取引ツールのログイン情報(口座番号とパスワード)
- 自動売買ツールの設定ファイル
- 証券会社や取引所のAPIキー
- ブラウザに保存したパスワード
- リモートデスクトップの接続情報
- 作業用に置いたメモやスクリーンショット
金銭に直結するものが並ぶ。ここが他の事案と違う重さになる。
いちばん困る点:サーバーに入れない
公式のお願いはこうだ。
サーバー内に認証情報(ID・パスワード等)を保管・利用されている場合は、速やかに変更をお願いいたします。
正しい指示だと思う。ただしサーバーは止められている。
つまり「何を置いていたか確認してから変える」ができない。
やり方は1つしかない。置いた側のサービスで変えることになる。
記憶をたどる順番
サーバーが見られないので、思い出す作業になる。順番を決めておくと漏れにくい。
- お金が動くもの。証券口座、取引所、決済サービス
- そこに繋がるもの。APIキー、自動売買ツールの設定
- サーバーに入るためのもの。リモートデスクトップの利用者名とパスワード
- ブラウザに保存していたもの。そのサーバーでログインしたサイト全部
- メールアカウント。サーバー上でメールを見ていた場合
4番目を忘れやすい。そのサーバーのブラウザでログインしたものは、全部保存されている可能性がある。
証券口座で先にやること
順番として、ここが最優先になる。
- パスワードを変える
- 多要素認証を入れる(入れていなければ)
- APIキーを失効させて、発行し直す
- 出金先の口座設定を確認する
- 10月20日前後の取引履歴とログイン履歴を見る
4番目は見落としやすい。出金先を書き換えられていないかは、自分で見るしかない。
多要素認証の選び方はSMSとアプリとパスキーに書いた。お金が動く口座なら、入れておく価値がはっきりある。
使い回しも、いつもどおり
公式も書いている。
同一のパスワードを他のサービスでもご利用の場合は、あわせて変更をお願いいたします。
一昨日漏れた組み合わせを順番に試す攻撃が始まった話を書いた。今回は平文で置いてあった可能性があるぶん、ハッシュ化されたものより直接的になる。
停止の判断について
全プランを止めている。利用者からすれば自動売買が止まるので、損得が発生しうる。
それでも止めたのは、動かし続けるほうが危ないと判断したということになる。
昨日書いた福岡市の避難情報配信では、逆に止めない判断をしていた。止めると情報が届かない人が出るからだ。
止めるのが正解とは限らないし、止めないのが正解とも限らない。何が止まると困るかで変わる。今回は止めたほうが被害が小さい側だったのだと思う。
再開は未定
「再開時期は、確定次第お知らせいたします」とある。いつ戻るか分からない。
自動売買を動かしている人は、その間の建玉をどうするかを証券会社側で考える必要がある。これはサーバーの話ではなく、取引の話になる。
フィッシングに注意
公式が先回りして書いている。
当社からお客様に、パスワードやクレジットカード情報をメールや電話でお伺いすることはありません。
再開が未定なので、「再開しました」という連絡が本物に見える時期に入る。
しかも今回はお金が絡む人のリストになりうる。狙う側から見れば価値が高い。リンクから入らないのを徹底する。見分け方は漏えいの後に届く「お詫びとお知らせ」に書いた。
この件の位置づけ
昨日、今月の不正アクセスが多い理由を書いた。調査会社がAIの自律型侵入テストの使用を確認した、という内容だった。
今回の件との関係は公表されていない。だから結びつけることはできない。
ただ、あの記事で挙げた落とし穴のひとつ「公開されているものは、すべて解析される」は、ここにも当てはまる。リモートデスクトップで外から入る形のサーバーは、常に外から見えている。
まとめ
- 影響の可能性があるのは26,739件のサーバー
- 不正なプログラムが設置された。確認は10月20日
- サーバー内の情報が閲覧された可能性がある
- 全プランが10月21日4時から順次停止。再開は未定
- 漏れた項目の一覧は出ない。中身は借りている人しか知らない
- サーバーに入れないので置いた側のサービスで変えるしかない
- 優先は証券口座、APIキー、出金先の確認、取引履歴
- ブラウザに保存したパスワードを忘れない
- 個人情報の漏えいと悪用は現時点で未確認。決済情報は同社で保持していない
出典
- お名前.com「【重要】[お名前.com デスクトップクラウド]第三者による不正アクセスに関するお詫びとお知らせ(2026年10月21日 4:00時点)」(不正プログラムの設置、影響の可能性があるサーバー数、停止の日時と対象、利用者への依頼、問い合わせ窓口)
本記事は2026年10月21日時点の公表内容に基づく。調査は継続中であり、続報で内容が変わる可能性がある。サーバーに保管していた内容は利用者ごとに異なるため、対応は自分の利用状況に合わせて判断すること。本記事は投資または法的な助言ではない。
新しい記事が出たら、ブラウザの通知でお知らせします。
メールアドレスの登録は要りません。いつでも止められます。
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