370万件の中身は均一ではない。重いのは48万件のほう

報道は件数しか伝えません。公式の内訳を読むと、住所の精度も、含まれる項目も、対象ごとにまったく違いました。

この記事の結論

  1. 大半は氏名と「市区町村まで」の住所。番地まで含む可能性は約12%
  2. 重いのは販売店48万件。引落口座情報が含まれる場合がある
  3. パスワードと決済情報は含まれない
  • 大半は氏名と「市区町村まで」の住所。番地まで含む可能性は約12%
  • 重いのは販売店48万件。引落口座情報が含まれる場合がある
  • パスワードと決済情報は含まれない

リクルートが『カーセンサーnet』と『C-MATCH』への不正アクセスについて、件数を公表した。最大3,709,551件。

報道の見出しは「370万件」で止まっている。だが公式の内訳を読むと、中身がまったく違った。そこを書く。

停止までの経緯は検知したその日の17時に全部止めた話に書いた。今回はその続きになる。

370万件の内訳

対象件数
販売店へ問い合わせをした利用者3,210,421
C-MATCH登録の中古車販売店483,168
従業員・退職者・委託先・代理店10,673
口コミを投稿した利用者5,289

全体の87%が、いちばん上の「問い合わせをした人」になる。

その317万件の中身

ここがいちばん意外だった。さらに分かれている。

項目件数
氏名、住所3,176,375
+問い合わせ内容、年代、性別33,247
+電話番号、FAX番号、メールアドレス799

連絡先まで出たのは799件だ。370万件のうち、それだけになる。

そして「住所」の注記

これは報道では絶対に伝わらない部分だと思う。

上記「住所」は原則として市区町村名までの情報です。町名・番地・建物名・部屋番号等まで含む住所が記載されている可能性がある件数は、最大447,670件です

大半は「◯◯市」までで止まっている。

番地まで含む可能性があるのは44.7万件、全体の約12%。残りの88%は、そこまで出ていない。

「370万件が漏れた」と聞いたときに想像する内容と、実際とはかなり距離がある。

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重いのは、販売店のほうだった

件数では13%だが、中身の重さが違う。

C-MATCHに登録している中古車販売店48万3,168件について、挙げられている項目はこうだ。

  • 代表者や担当者の氏名・電話番号
  • 古物商許認可番号、許認可保有者氏名、発行都道府県
  • ログインID

そして、個人事業主の場合にはさらに追加される。

個人事業主の場合、上記に加え、事業所・窓口の住所、郵便番号、電話番号、FAX番号、引落口座情報が含まれます。

口座の情報が入っている。

なぜこれが重いか

  1. 口座情報は、変えるのが重い。パスワードのように数分では済まない
  2. 古物商の許認可番号は、事業者を名乗る材料になる。取引相手を装える
  3. 事業所の住所と電話は、たいてい公開情報だが、口座とセットになると話が変わる
  4. ログインIDが出ている。パスワードは含まれないが、片側は分かっている

個人の「氏名+市区町村」と、事業者の「代表者名+口座+許認可番号」では、できることが違う。

件数の大きさと、一人あたりの重さは別物だ。

従業員と委託先も入っている

見落としやすい項目がある。1万673件のほうだ。

対象はこうなっている。

  • リクルートの従業員(退職者を含む)
  • 業務委託契約を結んでいる、または結んでいた企業の従業員や個人事業主
  • 販売代理店契約を結んでいる、または結んでいた企業の従業員

項目は氏名、メールアドレス、ログインID。

「結んでいた」が入っている。すでに関係が終わっている人も対象になる。

昨日書いた福岡市の件でも、消防局が契約終了後も残っていたデータで対象になっていた。終わった関係のデータが残り続けるのは、どこでも同じらしい。

含まれていないもの

公式がはっきり書いている。

上記(1)〜(4)いずれにもクレジットカードなどの決済情報、ログインパスワードは含まれておりません。

昨日の阪急阪神百貨店の件でも、カード番号の全桁は持っていなかった。決済情報を自前で持たない形が、効くときには効いている。

なお(1)〜(4)の全てに社内の管理用IDが含まれるとも書かれている。

注意喚起の書き方が強い

ここは少し驚いた。ふつうは「ご注意ください」で終わる。

メール・SMS・郵送物の開封や電話への応答をしない
本文に記載されたリンクを開かない
添付されたファイルを開封しない

「開封しない」「応答しない」まで踏み込んでいる。

住所が出ているので郵便物が入っているのも、理にかなっている。メールだけの話ではない。

見分け方は漏えいの後に届く「お詫びとお知らせ」に書いた。本物にログインリンクは入らないのが基本になる。

経緯は3日で動いている

日付出来事
10月17日(土)不審なアクセスを検知。同日17時頃に関連する全サービスを停止
10月20日(火)漏えいした可能性のある項目と件数を把握
10月21日(水)公表。個人情報保護委員会へは速報済み

土曜に検知して同日に止め、中3日で内訳まで出している。

昨日書いた445万件の件と比べると、項目ごとの件数まで割って出している点が丁寧だと思う。

やること

販売店・個人事業主の方

  1. 口座の明細を見る。身に覚えのない引き落としが無いか
  2. 取引先を名乗る連絡を疑う。許認可番号を知っている相手でも、本物とは限らない
  3. 振込先の変更依頼には、必ず別の経路で確認する。電話番号もメールも出ている
  4. C-MATCHのパスワードは漏れていないが、再開時に変えておく

3番目がいちばん危ない形だと思う。取引のある相手を装って振込先を変えさせる手口は昔からある。材料が揃っている状態になっている。

利用者の方

  1. 慌てなくていい。パスワードも決済情報も含まれていない
  2. 郵便物に注意する。住所が出ている
  3. 個別の連絡を待つ。対象者には順次連絡されるとされている

まとめ

  • 最大3,709,551件。うち87%が「問い合わせをした利用者」
  • その大半は氏名と市区町村までの住所
  • 番地まで含む可能性は最大44.7万件(約12%)
  • 電話・FAX・メールまで出たのは799件
  • 重いのはC-MATCH販売店48万3,168件。個人事業主は引落口座情報も
  • 古物商許認可番号とログインIDも含まれる
  • 従業員・退職者・委託先・代理店も1万673件が対象
  • パスワードと決済情報は含まれない
  • 公式の注意は「開封しない」「応答しない」と強い
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出典

本記事は2026年10月21日時点の公表内容に基づく。件数は最大値であり、原因と影響範囲の調査は継続中とされている。続報で内容が変わる可能性があるため、最新の情報は公式の発表で確認すること。本記事は法的な助言ではない。

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