「直して戻す」ではなく「作り直して移す」。再開の形が珍しい
メドレーが22日に一部再開します。ただし従来のシステムは再稼働させず、別環境に作った新サービスへデータを移す形です。調査が長引いている理由も公式に書かれていました。

この記事の結論
- 元のシステムは再稼働させない。別環境に作り直して移す
- 再開は3つの業務だけ。動作保証はWindows 11とEdgeのみ
- 調査が長引いている理由を公式が書いている。オンプレミス型とクラウド型の混在
- 元のシステムは再稼働させない。別環境に作り直して移す
- 再開は3つの業務だけ。動作保証はWindows 11とEdgeのみ
- 調査が長引いている理由を公式が書いている。オンプレミス型とクラウド型の混在
メドレーの医療機関向けシステム「@link(アットリンク)」が、不正アクセスを受けて10月14日の深夜から止まっている。対象は最大787の医療機関だ。
10月22日の朝7時から一部を再開する、と発表された。ここまでは他の事例と同じだが、再開の形がかなり珍しい。
元のシステムに戻さない
公式の最新情報ページにこう書かれている。
再開にあたっては、これまでのシステムを再稼働させるのではなく、必要な機能を搭載した新サービス「@link クラウド β版」として、今までとは別の環境で構築し、貴院の予約・患者データ等を移行したうえでご提供いたします。
ふつうは「復旧」する。穴をふさいで、同じものを立ち上げ直す。
そうしていない。別の場所に新しく作って、データだけ持っていくという判断だ。
なぜそうするのか
公式は理由を書いていないが、止めている側の事情は想像がつく。
- どこから入られたかが確定していないと、戻しても安全と言えない
- 入られた環境には何か残されている可能性がある
- 調査のために、元の環境を触らず保存しておきたい
つまり調査の終わりを待たずに業務を戻すには、これしかないという形になる。停止が8日目に入っているので、待てなかったのだと読める。
作り直すか、持っていくかの判断は、前日に書いた古いコードを書き直すか移すかと考え方が重なる。ふだんは移すほうが安いが、土台が信用できないときは作り直すほうが早い。
調査が長引いている理由が書かれていた
ここがいちばん参考になった。公式の「調査状況」にこうある。
アットリンクは長年にわたり提供してきたサービスであり、オンプレミス型とクラウド型のシステムが混在していることから、確認・精査に当初の想定以上の時間を要しております。
医療機関ごとに、院内に置いた機械で動いているものと、クラウドで動いているものが混ざっている。787件を1つずつ確認する形になる。
これは作る側として覚えておきたい話だと思った。混在は、ふだんは「移行の途中」として扱われる。だが調べる必要が出た日に、そのまま時間として跳ね返ってくる。
数えられる形にしておくこと自体が守りになる、という点は開発用のクラウドから183万件が出た件とも共通する。
再開するのは3つだけ
22日に戻るのは、次の業務に限られる。
| 対象業務 | できるようになること |
|---|---|
| 予約の確認・受付・登録 | 予約一覧、当日予約、受付や呼出などの状態管理 |
| 患者情報の管理 | 登録・更新・検索 |
| 診察カレンダー | 診療科・診察室・時間枠などの設定 |
逆に止まったままのものが多い。患者向けのアプリとWEB予約サイト、他社の電子カルテとの連携、問診、オンライン決済、デジタル診察券、出産管理や入院管理などのオプション。
この止まる範囲を機能ごとに全部書く形は、2日前に取り上げた止まる範囲をサービスごとに書いた告知と同じ作りだ。読む側は助かる。
動作保証がEdgeだけになっている
見落としやすいが、実務に効く条件が付いている。
動作保証環境は、Windows 11およびMicrosoft Edgeです。これ以外のOSやブラウザでは、正しく動作しない場合がございます。
さらに事前にブラウザの設定変更が必要で、マニュアルは後日送られるとある。
β版と名前が付いているとおり、範囲を絞って早く出す判断をしている。受付の現場で別のブラウザを使っているところは、22日の朝に困る可能性がある。
止まっている間の運用
紙に落とすための手当てが書かれている点は、真似できる形だと思った。
- 運用マニュアルを配っている
- 医療機関ごとの予約一覧ファイルを配っている
- 新規予約と変更は各医療機関で対応してもらう
- 患者からの問い合わせは窓口を案内する形に統一
止まったときにデータを手元に渡すのは効く。注文が1週間止まった委託先がランサムウェアに遭った事例でも、ここが分かれ目になっていた。
患者側がやること
アプリとWEB予約は使えない。予約の確認と変更は、通っている医療機関に直接連絡する。アプリ自体の不調については、医療機関ではなくアットリンクの窓口に聞く形になっている。
個人情報については、まだ調査中
経緯はこうだ。
- 10月11日 — 外部の専門機関から情報提供を受けて調査を開始
- 10月14日深夜 — サービスを一時停止
- 10月19日19時 — 22日の一部再開を告知(この時点が最新)
影響範囲は外部機関と連携して調査中とされ、10月20日を目処に再報告すると書かれている。筆者が20日の昼に確認した時点では、まだ更新されていなかった。
停止期間中の利用料金は、11月中を目処に返金される予定とある。
まとめ
- 対象は最大787の医療機関。10月14日深夜から停止中
- 10月22日朝7時から一部再開。ただし元のシステムには戻さない
- 別環境に「@link クラウド β版」を作り、データを移す
- 戻るのは予約・患者情報・診察カレンダーの3業務だけ
- 動作保証はWindows 11とEdgeのみ。事前のブラウザ設定も必要
- 調査が遅れている理由はオンプレミス型とクラウド型の混在と明記されている
- 患者向けアプリとWEB予約は停止中。予約は医療機関へ直接
- 個人情報への影響は調査中。20日を目処に再報告の予定
出典
- アットリンク「アットリンクへの不正アクセスおよびサービスの一時停止に関する最新情報」(最終更新2026年10月19日19時。再開する機能、停止が続く機能、動作保証環境、調査状況、返金)
- メドレー「アットリンクへの不正アクセスおよびサービスの一時停止に関する最新情報」(2026年10月15日。停止の開始日時と対象、問い合わせ先)
- 最新情報ページが20日昼の時点で未更新であることは、筆者が2026年10月20日12時10分に確認した
本記事は2026年10月20日12時10分時点の公式発表に基づく。個人情報への影響は調査中であり、続報で内容が変わる可能性がある。最新の情報は公式の告知で確認すること。本記事は法的な助言ではない。
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