末尾の1桁は再交付の回数。免許証番号は作り替えられる設計だった

タイムズカーの漏えいを受けて、免許証の特例再交付が各地で始まっています。番号の末尾が繰り上がる仕組みを警察庁の通達で確認しました。

この記事の結論

  1. 免許証番号の12桁目は再交付の回数。作り替えられる設計だった
  2. ただし上11桁は変わらない。ここが限界になる
  3. 手数料2,600円は自己負担。公式は費用について何も言っていない
  • 免許証番号の12桁目は再交付の回数。作り替えられる設計だった
  • ただし上11桁は変わらない。ここが限界になる
  • 手数料2,600円は自己負担。公式は費用について何も言っていない

タイムズカーの情報漏えいを受けて、運転免許証の再交付を特例で受け付ける動きが各地で出ている。

宮崎県では10月19日までに22件の申請があったと報じられた。報道によれば少なくとも22都県で同じ扱いが始まっており、東京都では約1,500人とされる。

気になったのは「免許証番号の末尾が1桁繰り上がる」という部分だ。番号が変わるなら、なぜ末尾だけなのか。警察庁の通達を読んだので、そこから書く。

免許証番号の12桁は、こうなっている

番号の形式は、警察庁の通達で定められている。内訳はこうだ。

桁内容
1〜2桁公安委員会コード(交付した都道府県)
3〜4桁年別記号(交付年の西暦の下2桁)
5〜10桁交付等番号(その年ごとの一連番号)
11桁チェックデジット(モジュラス11で計算)
12桁再交付記号

最初に取ったときは、12桁目が「0」になる。

再交付で繰り上がる

通達の記述はこうだ。

再交付回数1回の場合は「1」とし、以下再交付の回数に応じて1を加えた数を再交付記号として表示する(再交付の回数が10回の場合その他の再交付記号は「10」となる場合は、再交付記号をリセットし「1」とした上で、以下再交付の回数に応じて1を加えることとする。)

つまり0 → 1 → 2 → と増え、9の次は1に戻る。1桁しかないので、そうなる。

更新のときは繰り上がらない。通達には繰り上げた後の記号を引き継ぐと書かれている。

11桁目は計算で出している

チェックデジットは「モジュラス11」で、前の10桁から計算される。打ち間違いを見つけるための桁だ。

だから番号を適当に作っても、たいてい弾かれる。逆に言えば12桁目だけは計算の外にあるので、繰り上げても他の桁に影響しない。よくできた設計だと思った。

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ここが大事:上11桁は変わらない

通達にはっきり書かれている。

新たに再交付する免許証の番号(中略)の上11桁は、その者が直近において有していた免許証の番号(中略)と同一とし、12桁目については(中略)繰り上げるものとする。

番号が全部新しくなるわけではない。変わるのは最後の1桁だけだ。

これが何を意味するか。

  • 12桁すべてを照合している相手には、古い番号は通らなくなる
  • だが上11桁だけで照合している相手には、古い番号でも通る
  • 漏れた番号から新しい番号は簡単に推測できる(末尾に1足すだけ)

つまり再交付は「番号の秘密を取り戻す」ものではない。期待する効果を間違えないほうがいい。

では、何に効くのか

いちばん効くのは顔写真だと思う。

再交付では写真を撮り直す。だから流出した画像が、いまの免許証と一致しなくなる。

今回漏れたのは本人確認書類の画像だった。免許証の画像を160万件持っていた件で書いたとおり、画像はそのまま「本人確認済み」の材料に使われる。

画像が古くなれば、材料としての価値は下がる。番号より写真のほうが本題だ。

「特例」と呼ばれている理由

通達では、繰り上げる場合を「亡失又は滅失を理由とする免許証の再交付を行う場合」としている。

「漏えいした」は入っていない。なくしてもいないし、壊れてもいない。

だから各地の公安委員会は通常の運用の外で受け付けている。これが「特例」の意味になる。

費用は自己負担になっている

手数料は2,600円。報道のとおりだ。

そしてパーク24の発表には、この費用について何も書かれていない。10月16日の第4報を読んだが、触れられていなかった。

第4報に書かれていたのは、次の3つだ。

  1. 本人確認書類の画像を会員登録後は保有しないルールに変更
  2. いま持っている画像は10月末までに削除(本人の申し出がなくても)
  3. 次の案内は2026年10月23日(調査に時間を要したため後ろにずれた)

1と2は画像を持たないことにした話に書いた。方針としては正しい。

ただ漏らした側が何も言わないまま、利用者が2,600円と平日の時間を使っているという形になっている。10月23日の案内で触れられるかどうかは見ておきたい。

再交付するかどうかの判断

やったほうがいい、とは言いにくい。効く部分と効かない部分がはっきりしているからだ。

向いている人

  • 免許証の画像を提出する手続きを、今後する予定がある人
  • 免許証を主な本人確認書類として使っている人(他に持っていない)
  • すでに身に覚えのない連絡や請求が来ている人

急がなくていい人

  • マイナンバーカードなど別の書類で本人確認を済ませられる人
  • 更新が近い人(更新でも写真は撮り直す。ただし番号の末尾は繰り上がらない)

どちらにしても、やっておくべきことは再交付とは別にある。自分の情報が漏れたときに何をするかに書いた内容が先だ。

手続きの時間に注意

宮崎県の場合、受付時間はこうなっている。

  • 運転免許センター — 午前9時半〜11時半、午後2時〜3時半
  • 警察署 — 午前9時〜午後3時半

平日の日中だけだ。自分の都道府県で受け付けているか、条件が同じかは、各県警のページで確認する。県によって扱いが違う。

これは「鍵の作り替え」と同じ構造

今月書いてきた話とつながるので、最後に書いておく。

同じ日に書いた車検証閲覧アプリの脆弱性では、開発者が鍵を作り替えて古い鍵を無効化したから、被害が止まった。

免許証の12桁目も、同じことを紙とICでやっている。作り替えられる番号にしておいたから、いま使える手段がある。

逆に鍵がデータと同じ場所にあった件では、作り替えても間に合わなかった。

作り替えられるか。すぐ止められるか。この2つがあるかどうかで、漏れた後が変わる。免許証の番号の形式は、1981年の通達から運用されてきた(現行のものは2025年に改正されている)。最初からそうなっていた。

まとめ

  • 免許証番号は12桁。1〜2が公安委員会、3〜4が交付年、5〜10が一連番号、11がチェックデジット
  • 12桁目は再交付記号。新規は0、再交付のたびに1ずつ増え、10回目でリセット
  • 上11桁は変わらない。番号の秘密は取り戻せない
  • いちばん効くのは顔写真が新しくなること
  • 通達では「亡失又は滅失」が繰上げの理由。漏えいは入っていないので「特例」
  • 手数料2,600円は自己負担。パーク24の第4報に費用の記載は無い
  • 次の公式案内は2026年10月23日の予定
  • 受付は平日の日中のみ。条件は都道府県ごとに確認する
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出典

本記事は2026年10月20日時点の情報に基づく。特例の受付条件は都道府県ごとに異なり、変更される可能性があるため、申請の前に必ず居住地の県警・公安委員会の案内で確認すること。本記事は法的な助言ではない。

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