免許証の画像を160万件持っていた。確認が終わった後も
本人確認の書類は、確認が終われば不要になります。それでも残ります。

この記事の結論
- 本人確認は一度で終わる手続き
- 画像は確認後も残り続ける
- 漏れると差し替えがほぼできない
- 本人確認は一度で終わる手続き
- 画像は確認後も残り続ける
- 漏れると差し替えがほぼできない
2026年秋の公表で、件数より重く見えたものがある。本人確認書類の画像だ。
何が公表されたか
パーク24の発表から引く。
- 9月25日、タイムズカーWebサイトへの不正アクセスを公表
- 漏えいした項目に「免許情報、本人確認書類」が挙がっている
- 運転免許証画像などの本人確認書類は約160万件と日経xTECHなどが報じている
- 対象には現会員だけでなく、退会者と入会未完了者も含まれる
学生証や家族確認書類の画像も含まれたと報じられている。
なぜ件数より重いのか
他の項目と性質が違う。
- メールアドレスは変えられる
- パスワードは変えられる
- クレジットカードは再発行できる
- 免許証の画像は差し替えられない
4つ目がこの問題の核心だ。被害者の側に打つ手がほとんど無い。
何に使われうるか
本人確認に使われている場面を考えると分かる。
- オンラインの口座開設
- 携帯回線の契約
- 各種サービスの年齢確認
- 借入の申し込み
画像の提出で足りる手続きは少なくない。なりすましの材料になる。
なぜ画像が残るのか
残す理由はある。
- 確認した記録として保管を求められる業種がある
- 後からの照会に備える
- 再確認の手間を省く
- 消す運用を作っていない
4つ目が多い。消さない理由が無いだけで残っている。
確認と保管は別のこと
ここを分けて考える。
- 確認 — 本人かどうかを判断する作業。一度で終わる
- 保管 — 確認した事実を残すこと
- 保管に必要なのは「いつ、何で確認したか」の記録
- 画像そのものが必要とは限らない
3つ目で足りる場面は多い。記録と原本を取り違えている。
記録として残す項目
画像を消しても残せるものだ。
- 確認した日時
- 確認に使った書類の種別
- 確認した担当者または仕組み
- 書類の番号の一部(必要な場合)
これだけなら、漏れても差し替えができる範囲に収まる。
法令で求められる場合
業種によっては保管義務がある。
- 犯罪収益移転防止法の対象となる取引など
- 保管の期間が定められている場合がある
- 自社が対象かどうかは所管の規定を確認する
義務があるなら消せない。その場合は置き場所と暗号化の話になる。
義務が無いなら
消す運用を作る。
- 確認が完了した時点で画像を削除する
- 確認の記録だけを残す
- 削除を自動で走らせる
- 削除されたことを確認する
3つ目が要点だ。手作業にすると必ず溜まる。
退会者のデータ
今回の公表で目を引いた点だ。
- 退会者が対象に含まれていた
- 入会未完了者も含まれていた
- どちらも関係が終わっている相手
入会未完了者は、サービスを使ったことすらない。手続きの途中で止めた人の書類が残っていたことになる。
入会未完了のデータが残る理由
作りの問題だ。
- 途中で離脱した申込みを消していない
- 「後で再開できるように」保持している
- 保持の期限を決めていない
2つ目は利用者のためだが、期限を決めなければ無期限の保持になる。
期限の決め方
- 入会未完了は30日で削除
- 退会後は法令の保管義務の範囲だけ残す
- 画像は確認完了で削除
- 期限は画面に明記する
4つ目を書くと、社内でも守られやすくなる。公開した期限は動かしにくい。
保持するなら置き方を変える
消せない場合の話だ。
- Webから直接読める場所に置かない
- アプリケーションと別の権限で管理する
- 暗号化して保存する
- 取り出しに記録を残す
1つ目が基本だ。外部公開しているアプリケーションから到達できる場所に原本を置かない。
IPAの注意喚起にも同じ項目がある
10月9日の注意喚起は、対策のひとつに保有データの扱いを挙げている。
- 「保有情報の再点検」
- 「不要情報の削除」
侵入を防ぐ話ではない。侵入されたときに何が出るかを減らす話だ。
漏れた側が取れる対応
利用者としてできることは限られる。
- 身に覚えのない契約の通知に注意する
- 信用情報を確認する
- 免許証の番号を使う手続きで本人確認の強化を求める
- 警察や消費生活センターに相談する
差し替えができないため、監視するしかないのが実情だ。
自分のサイトで確認すること
規模が小さくても同じだ。
- フォームで画像を受け取っていないか
- 受け取った画像がどこに保存されているか
- 削除の運用があるか
- 何年分溜まっているか
4つ目を数えると判断が変わる。想像より多い。
まとめ
- 免許証の画像は差し替えられない
- 確認と保管は別のこと。記録だけで足りる場合がある
- 退会者と入会未完了者のデータに期限を付ける
- 消せない場合は、Webから到達できない場所へ移す
- 今日できるのは、溜まっている量を数えること
持っていなければ漏れない。保持しない判断がいちばん強い対策だ。
あわせて読む
- 病歴や通院の記録を預かっている場合の備え — 病歴など、同じく差し替えられない情報の扱い
- 漏えいしたら、いつまでに何を報告するのか — 漏れたときの報告の義務
出典
- パーク24「『タイムズカーWebサイト』への不正アクセスによる個人情報漏えいの可能性について(第1報)」
- 情報処理推進機構「不正アクセスによる漏えい等の事案を踏まえ、速やかに実施すべき対策等について」(2026年10月9日)
- 件数および対象者の区分は、日経xTECH、日本経済新聞の各報道による
法令上の保管義務の有無は業種と取引で変わる。自社の扱いは所管の規定で確認してほしい。この記事は法的な助言ではない。
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