IPAの注意喚起を、今週やる作業に落とした
2026年10月9日の内容を、順番と所要時間つきの手順にします。

この記事の結論
- IPAが挙げたのは3領域
- 順番がある。洗い出しが先
- 1日で終わる範囲から始める
- IPAが挙げたのは3領域
- 順番がある。洗い出しが先
- 1日で終わる範囲から始める
情報処理推進機構(IPA)が2026年10月9日に出した注意喚起を、実際の作業に落とす。原文は3つの領域に分かれている。
IPAが挙げた3領域
| 領域 | 内容 |
|---|---|
| 外部公開アプリケーション | 直近ログの異常確認/未適用パッチの確認と適用 |
| 外部サービス利用 | 網羅的な洗い出し/サービス単位のログ確認/アカウント確認 |
| 保有データ | 保有情報の再点検/不要情報の削除 |
異常を見つけたら「速やかにセキュリティインシデントと判定し、専門のセキュリティベンダーに詳細調査を依頼することを強く推奨」とされている。
先にやるのは洗い出し
順番を間違えると終わらない。
- ログを見るには、どこにログがあるか知っている必要がある
- パッチを当てるには、何が動いているか知っている必要がある
- データを消すには、どこにあるか知っている必要がある
3つとも一覧が前提だ。一覧が無いなら、そこから始める。
1日目 — 外部公開しているものを数える
- 自社のドメインとサブドメインを列挙する
- それぞれ何が動いているか書く
- 管理画面が公開されていないか見る
- 使っていないものを止める
4つ目で減らせることが多い。止めたものは攻撃されない。
見落としやすい公開物
- 検証用に立てたまま残っているサーバー
- 旧サイトのサブドメイン
- 開発用の管理画面
- ファイル共有の仕組み
- APIの入口
1つ目が危ない。更新されないまま公開され続けている。
2日目 — 外部サービスを数える
IPAが「網羅的」と書いているところだ。
- 契約しているサービスを全部書き出す
- 各部署に「使っているものはこれで全部か」と聞く
- 無料で始めたものも入れる
- 請求書とカードの明細から拾う
4つ目が確実だ。記憶より支払いの記録のほうが正確。
サービスごとに書く項目
- 預けているデータの種類と規模
- 管理者が誰か
- 多要素認証を有効にしているか
- 退職者のアカウントが残っていないか
- 止まったときの代替
4つ目は今日のうちに消せる。使っていないアカウントは入口になる。
3日目 — ログを見る
IPAは「直近ログの異常確認」を挙げている。何を異常とするかを決める。
- 深夜や休日のログイン
- 見慣れない国からのアクセス
- 短時間に大量の失敗
- 成功した直後の大量のダウンロード
- 管理者権限の付与
4つ目が今回の事案に近い。入ったこと自体より、入った後の動きを見る。
ログが無い場合
これも多い。
- 保存期間が短く、すでに消えている
- そもそも記録していない
- 記録しているが見る手段が無い
まず保存期間を延ばす。見る仕組みは後からでいい。残っていなければ調べようがない。
4日目 — パッチを当てる
- 未適用のものを一覧にする
- 外部公開しているものから当てる
- 手元で試してから本番に当てる
- 当てられないものは理由を書く
4つ目を書いておく。当てない判断も記録すると、後で見直せる。
5日目 — 持っているデータを減らす
IPAの「不要情報の削除」だ。
- 保有している個人データの一覧を作る
- それぞれ保持する理由を書く
- 理由が書けないものを消す
- 期限を決めて自動で消す
2つ目で詰まるものが出る。理由を書けないデータは、持つ必要が無い。
消す候補
- 退会者のデータ
- 入会手続きが途中で止まった人のデータ
- 確認が済んだ本人確認書類の画像
- 何年も前の問い合わせフォームの送信内容
- 検証に使ったテストデータ(実データの写し)
5つ目を忘れやすい。本番の写しが検証環境に残っていることがある。
アカウントの手当て
IPAは「アカウント異常確認」を挙げている。
- 多要素認証を有効にする
- 管理者権限を持つ人を減らす
- 共用アカウントをやめる
- 退職者のアカウントを消す
3つ目が効く。共用だと、誰がやったか分からない。
委託先に聞くこと
今回の事案で起点になった経路だ。
- 当社のデータをどこに置いているか
- 再委託しているか
- 事故のとき何時間以内に連絡が来るか
- 直近に不正アクセスの被害はないか
3つ目を契約に書く。連絡が遅れると公表も遅れる。
起きたときの段取りを決める
平時に決めておく。
- 誰が「インシデント」と判定するか
- 調査を依頼する先をどこにするか
- 誰が個人情報保護委員会に報告するか
- 公表の文面を誰が書くか
2つ目を先に決める。起きてから探すと数日かかる。
やってはいけない初動
- とりあえずサーバーを初期化する
- ログを消す
- 攻撃された端末を使い続ける
- 事実が固まる前に件数を発表する
1つ目と2つ目は調査の材料を消す。原因が分からなくなる。
小さい組織での現実的な順番
人が足りない場合はこれだけでいい。
- 使っている外部サービスを全部書き出す
- 管理者アカウントに多要素認証を付ける
- 退職者のアカウントを消す
- 消せるデータを消す
この4つは費用がかからず、今週できる。
まとめ
- 洗い出しが先。一覧が無いと他が進まない
- 公開しているもので、使っていないものを止める
- ログは保存期間を先に延ばす
- 保持する理由を書けないデータは消す
- 調査の依頼先を平時に決めておく
IPAの注意喚起は、侵入を防ぐ話より把握と削減に寄っている。順番もその通りだ。
あわせて読む
- アカウントの棚卸し。退職者と共用と連携を止める — アカウント側の手当ての詳細
- 侵入されたと分かった日。最初の1時間でやること — 実際に起きた日の初動
出典
この記事は一般的な整理であり、個別の組織への助言ではない。報告義務の有無は個別の事情で変わるため、所管の規定を確認してほしい。
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