パスワードは漏れていない。それなのに196件は変えられていた
カプコンで1,177万件。数の大きさより、この196件のほうが気になります。公式は原因を書いていません。

この記事の結論
- 対象は11,774,247件。今月このサイトで扱った中で最大
- パスワードは漏れていない。だが196件は変更されていた
- 漏れた項目に最終ログイン時のIPアドレスが含まれる
- 対象は11,774,247件。今月このサイトで扱った中で最大
- パスワードは漏れていない。だが196件は変更されていた
- 漏れた項目に最終ログイン時のIPアドレスが含まれる
カプコンが、会員サービス「CAPCOM ID」への不正アクセスを公表した。
件数は1,177万件で大きいが、気になったのは196件のほうだった。そこから書く。
まず、内訳
| 内容 | 件数 |
|---|---|
| メールアドレス、システム固有の識別情報 | 11,774,247 |
| うち、生年月日・性別・国と地域・ニックネームも | 43 |
| うち、ログインパスワードを不正に変更された | 196 |
クレジットカード情報は含まれないと明記されている。
「システム固有の識別情報」の中身
ここは注釈を読んだほうがいい。中身はこうなっている。
- アカウント作成日時
- 最終ログイン日時
- ログイン回数
- 最終ログイン時のクライアントIP
IPアドレスが入っている。
多くの人にとっては、契約している回線の一時的な番号でしかない。ただメールアドレスと組になっているので、おおよその地域が推測できる場合がある。
今月は住所が市区町村までだった例も書いたが、漏れた項目は、組み合わせで意味が変わる。
本題:パスワードは漏れていないのに、変えられた
公式の書き方が、かなり慎重だった。
お客様ご自身で設定されたパスワードの漏えいは確認されておりません。一方、196件のアカウントにおいて、パスワードが不正に変更されていたことを確認しました。
一読すると矛盾して見える。パスワードを知らないのに、パスワードを変えられている。
なぜそれが起きるのか
一般論として、パスワードを変えるのにパスワードが要らない経路はいくつかある。
- ログイン済みの状態を乗っ取る。セッションや認証の札を手に入れる
- パスワードの再設定を使う。メールの経路を押さえていれば通る
- 管理側の機能を使う
どれだったかは公表されていない。だから断定はできない。
ただ「パスワードが漏れた話ではない」という点は押さえておきたい。他社で漏れた組み合わせを試す攻撃とは、形が違う可能性がある。
196件という数をどう見るか
1,177万件のうち196件は、割合としては0.0017%にすぎない。
だが性質が違う。
| 1,177万件 | 196件 |
|---|---|
| 漏れた可能性の話 | 実際に操作された |
| 被害は、まだ無い | アカウントを取られている |
「可能性」と「確認済み」は、分けて読む。件数の大きいほうに目が行くが、重いのは小さいほうだ。
該当のアカウントはすでにパスワードをリセット済みで、影響範囲は調査中とされている。
対応は速い
経緯を並べると、こうなる。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 10月19日 | 痕跡を発見。直ちに遮断し調査着手。同日に不正アクセスを確認し、緊急対策を実施 |
| 10月20日 | 対策本部を設置。漏えいと不正なパスワード変更を確認。外部のセキュリティ監督委員会へ報告 |
| 10月21日 | 警察と個人情報保護委員会へ報告 |
| 10月22日 | 公表 |
発見から公表まで3日。しかも発見した当日に遮断まで終えている。
今月、検知から3時間39分で止めた例を書いたが、今回も同じ水準になる。
外部の委員会に報告している
見落としやすいが、ここは珍しい。
対策本部を設置したその日に、外部アドバイザリー組織であるセキュリティ監督委員会へ報告している。
社内だけで抱えない形が、あらかじめ用意されていたということになる。別の記事でも書いたが、当日に押せるものは、平時に作ってある。
止めていない
サービスは継続して利用できるとされ、全てのゲームでプレイへの影響はないと明記されている。
「緊急対策の実施および攻撃手段の特定と対応を完了しており」とあるので、塞いだうえで動かしているという判断になる。
今月は止めることを公的機関が勧める場面まであったが、止めるかどうかは、塞げたかどうかで決まる。
利用者がやること
- 心当たりのないパスワード再設定のメールが来ていないか、過去分を見る
- ログイン履歴を確認する。見られるなら
- 他で同じパスワードを使っているなら、そこを変える
- カプコンを装うメールに注意する。メールアドレスが出ている
1番目は今回の形に合っている。パスワードを変えられた196件には、その痕跡が残っている可能性がある。
3番目については、公式はパスワードの漏えいは確認されていないとしている。だから今回のために急ぐ必要はない。ただ使い回し自体は、今回と関係なく危ない。
多要素認証の選び方はSMSとアプリとパスキーに書いた。パスワードを知られなくても入られる形があるなら、なおさら入れておきたい。
偽の案内の見分け方は漏えいの後に届く「お詫びとお知らせ」にまとめてある。
PHPの件とは別
今週はPHPの脆弱性の話が続いている。この発表にPHPへの言及は一切ない。
時期が近いので結びつけたくなるが、原因そのものが公表されていない。並べて読まないほうがいい。
まとめ
- 対象は11,774,247件。メールアドレスとシステム固有の識別情報
- 識別情報に最終ログイン時のIPアドレスが含まれる
- 43件は生年月日・性別・国と地域・ニックネームも
- 196件はパスワードを不正に変更された。すでにリセット済み
- パスワードの漏えいは確認されていない。原因は非公表
- クレジットカード情報は含まれない
- 10月19日に発見し同日に遮断。3日後に公表
- サービスは継続利用可。ゲームへの影響なし
出典
- カプコン「不正アクセスによるお客様情報漏えいのお詫びとお知らせ」(2026年10月22日。件数の内訳、システム固有の識別情報の中身、パスワードの不正変更、経緯の日付、対応、問い合わせ窓口)
本記事は2026年10月22日時点の公表内容に基づく。原因と影響範囲は調査中であり、続報で内容が変わる可能性がある。パスワードが変更された経路については公表されていないため、本記事の記述は一般論にとどまる。最新の情報は公式の発表で確認すること。本記事は法的な助言ではない。
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