第12報まで来た。対象が緊急通報の仕組みにも広がっている

防災メールの配信事業者への不正アクセスが、聴覚障害者等向けの緊急通報システムにも及んでいました。自治体側からも件数が出始めています。

この記事の結論

  1. 対象がNET119(聴覚や発話に障害のある人の緊急通報)にも及んでいた
  2. 委員会への報告を事業者側が代行する方向で進んでいる
  3. 自治体側からも件数が出始めた
  • 対象がNET119(聴覚や発話に障害のある人の緊急通報)にも及んでいた
  • 委員会への報告を事業者側が代行する方向で進んでいる
  • 自治体側からも件数が出始めた

10月13日に防災メールが止まった件を書いた。配信事業者アルカディアへの不正アクセスだ。

その後、同社は第12報まで更新を重ねている。読み直したら、当初より広がっていた。

対象が増えている

第1報(10月13日)の時点で対象とされていたのは、防災情報の配信サービスだけだった。

第4報(10月14日)で、こう書かれている。

詳細調査を進めた結果、NET119と119RAIDENにも第三者による不正アクセスが行われた形跡があり、個人情報が漏洩した可能性があることを確認いたしました。

NET119とは何か

聴覚や発話に障害があり、音声での119番通報が難しい人が、スマートフォンなどから消防へ通報するための仕組みになる。

第11報によれば、漏えいの可能性があるのは9,020件のメールアドレスに紐づく個人情報で、項目は名前、生年月日、性別、住所、電話番号、メールアドレス、FAX番号などとされている。

ただし、こうも明記されている。

なお、要配慮個人情報は漏洩していないことは確認できております。

障害の内容そのものは出ていない、ということになる。ここを明示したのは適切だと思う。

それでも性質が重い

NET119に登録しているという事実そのものが、本人について多くを示す。

この秋に扱った漏えいの多くは、氏名やメールアドレスだった。名簿に載っていること自体が情報になるという点で、今回は性質が違う。

似た話は履歴書が漏れた件でも書いた。差し替えのきかない情報になる。

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件数の全体像

サービス漏えいの可能性がある件数
SpeeCAN RAIDEN(防災・防犯の配信)メールアドレス約313万6千件/電話番号 約10万5千件/FAX 約1万5千件
119RAIDENメールアドレス約9万7千件/電話番号 約1万7千件/FAX 約400件
NET1199,020件のメールアドレスに紐づく個人情報

第1報では「あくまでも推定値」とされていた。調査が進むにつれて、対象のサービスが増えているのが今回の経過になる。

減った部分もある

第5報では、119RAIDENについて対象外と判明したURLが2つ挙げられ、「大変お騒がせいたしました」と添えられている。

第6報では、映像通報について現時点で漏洩の可能性はないと更新されている。

増えるだけでなく、絞り込まれてもいる。ヤマトやイエローハットで見た形と同じになる。

報告を代行する

第10報に、実務上かなり大きい話が書かれている。

本来、各ご契約者様から個人情報保護委員会への報告を行う必要がありますが、個人情報保護委員会様と相談させていただき、弊社の方で代行報告を行う予定で準備を進めております。

防災メールを委託している自治体は、それぞれが報告義務を負う立場になりうる。その数だけ個別に報告が出ることになる。

これを事業者がまとめて出すという形だ。同意が必要なので、準備でき次第メールで知らせるとされている。

同じ構図はStudioの件でも出ていた。あちらは「報告をいったん保留してほしい」という案内だった。多数の事業者が同時に義務を負う事態では、まとめるほうが整理がつくという判断が続いている。

自治体側から見ると

宮崎県が10月13日に公表した内容が、委託の構造をよく示している。

宮崎県防災・防犯情報メールサービスはNECネッツエスアイ株式会社との業務委託により、株式会社アルカディア社が運用するシステムを活用している。

登録件数は38,959件。対応としては、県利用者の情報の漏えいの有無と範囲を現在確認中としている。

3つ先まで離れている

登録した県民から見ると、こうなる。

  1. 自分 — 県のサービスに登録した
  2. 宮崎県 — サービスの提供者
  3. NECネッツエスアイ — 業務委託先
  4. アルカディア — システムの運用元。ここが不正アクセスを受けた

登録した人は、4層目の会社を知らない。この構図は自社は破られていない。それでも漏れた企業が並んだに書いたとおりになる。

そして県のサービス自体は運用を継続している。止まったのは配信事業者側の一部サーバで、10月15日15時頃に復旧したとされている。

登録している人がすること

  1. 防災メールの配信自体は続いていることを確認する。登録を解除する必要はない
  2. 県や事業者を装った連絡に注意する。宮崎県も明確に呼びかけている
  3. 個人情報の入力を求める連絡は、すべて疑う
  4. 管理者側は、パスワードを変更する(第9報で全利用者に求められている)

1番目が重要になる。不安になって登録を解除すると、本当に必要なときに通知が届かない。漏えいへの対処と、防災の備えは別の話になる。

まとめ

  • 調査が進み、対象がNET119と119RAIDENにも広がった
  • NET119は9,020件。ただし要配慮個人情報は漏えいしていないと確認されている
  • 対象外と判明した部分もある。増えるだけではない
  • 委員会への報告は事業者が代行する方向で準備中
  • 宮崎県の登録は38,959件。県と事業者の間にはさらに委託先が入る
  • 配信サービス自体は継続中。登録を解除する必要はない
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出典

本記事は2026年10月19日時点で公表されている内容に基づく。件数は推定値とされており、調査は継続中。本記事は法的な助言ではない。

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