「2カ月で10万行」は資産か、それとも借金か。AIで書いたコードの“その後”を考える

GMOの熊谷正寿代表が、Claude Codeで2カ月に約10万行のコードを書いたと語っています。トップ自らが使う姿勢は学ぶところが多い一方、行数は価値の物差しになるのか。AIで作ったものを持ち続けるために必要なことを整理します。

この記事の結論

  1. GMOの熊谷正寿代表が、Claude Codeで2カ月に約10万行のコードを書き、自分専用のアプリを作ったと語っている
  2. 詰まったら画面のスクショを貼って聞く。トップが自分で手を動かす姿勢は、学ぶところが多い
  3. ただ、行数は価値ではなく、持ち続ける量でもある。AIで作ったものほど「その後」の準備が要る
  • GMOの熊谷正寿代表が、Claude Codeで2カ月に約10万行のコードを書き、自分専用のアプリを作ったと語っている
  • 詰まったら画面のスクショを貼って聞く。トップが自分で手を動かす姿勢は、学ぶところが多い
  • ただ、行数は価値ではなく、持ち続ける量でもある。AIで作ったものほど「その後」の準備が要る

エンジニアtypeに、GMOインターネットグループの熊谷正寿代表のインタビューが載っている(2026年7月1日公開)。

見出しは「2カ月で10万行コード書いた」。後半は会員限定なので、ここでは公開されている部分の範囲で読む。

何を作ったのか

熊谷さんが作ったのは、自分の時間を管理するための専用のアプリだ。

  • 以前はExcelで作っていた、平均余命から逆算して残りの時間を秒単位で数える「人生時計」
  • 生涯でかなえたい「夢リスト」

これをClaude Codeで作った。取材の前日の時点で9万7,808行。社内に数千人のエンジニアがいるが、誰にも聞かず、本も動画も見ずに作ったという。

詰まったときのやり方も語っている。

画面のスクショを撮って、そのままClaudeに貼り付けて「ここがうまくいかない、どうすればいい?」って聞くだけです。

GitHubを経由して、自宅や会社の9台の端末を使い分けて開発し、一部の機能は一般向けのアプリとしてストアに公開までしたという。

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学ぶところ:トップが自分で触る

まず、ここは素直にすごいと思う。

AIの使い方を部下に任せるのではなく、経営者が自分で毎日触って、詰まって、解いている。どこが簡単で、どこが難しいかを体で知っている人の判断は、資料だけで判断する人とは違ってくる。

「スクショを貼って聞く」も、実はかなり有効なやり方だ。エラーの文章を自分で要約するより、画面をそのまま渡したほうが、AIが状況を正しくつかみやすい。これから始める人にもすすめられる。

考えたいところ:行数は物差しになるか

記事の公開部分の最後で、熊谷さんはこう計算している。

  • 以前は、大手のSIerで1人月100万円、書けるコードは平均1,000行が業界のざっくりした相場だった
  • だから10万行なら50人月、5,000万円かかっていた

AIで開発の費用が大きく下がった、という実感としては分かる。ただ、ここから先は少し立ち止まりたい。

同じ機能なら、短いほうが良い

プログラムの世界では、同じことができるなら、行数は少ないほうが良いとされることが多い。

コードは、書いたら終わりではない。読み直し、直し、更新し続ける対象だ。10万行あれば、10万行ぶんを持ち続けることになる。

AIは、頼めばいくらでも書いてくれる。だから必要以上に長くなりやすい。行数は「作った量」であると同時に、「これから面倒を見る量」でもある。

確認が追いつかない

同じエンジニアtypeでは、「AIでコード生成は加速、でも人間の確認が追いつかない」という記事が人気記事に並んでいる。

書く速さは上がった。だが、正しいかどうかを確かめる速さは、まだそこまで上がっていない。自分専用のアプリなら困るのは自分だけで済む。だがストアで一般に公開したものは、使う人の情報や端末を預かることになる。

AIで作ったものを持ち続けるために

これは熊谷さんに限らず、AIで何かを作ったすべての人に言えることだ。作ったあとに、最低限これだけは用意しておきたい。

  1. 鍵(APIキーやパスワード)をコードに書かない。AIに頼むと、画面側のコードに鍵を直接書くことがある。1,000万サイトを調べた研究でも、使える鍵が大量に見つかっている
  2. 使っている部品を一覧にして、更新する。AIが入れたライブラリにも、あとから弱点が見つかる。今週だけでもPHP、Ruby、Node.jsで重大な修正が出た
  3. 中身を説明できる状態にしておく。AIに「このプログラムが何をしているか」を書き出させ、残しておく。半年後の自分は、他人と同じだ
  4. 公開する前に、誰かに見てもらう。人でも、別のAIでもいい。書いたAIと確かめる目を分ける
  5. やめ方も決めておく。使わなくなったアプリを公開したまま放置しない

大きなコードをAIに扱わせるときの工夫は、1万行のコードは渡せない。AIに何を渡すか決めたにも書いた。

まとめ

  • 熊谷代表は、Claude Codeで2カ月に約10万行のコードを書き、自分専用のアプリを作った
  • トップが自分で触る姿勢、スクショを貼って聞くやり方は、学ぶところが多い
  • ただし行数は価値ではなく、持ち続ける量でもある。同じ機能なら短いほうが良い
  • AIで作ったものほど、鍵の扱い・部品の更新・説明できる状態・別の目での確認が要る
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出典

本記事は公開されているインタビューの内容に基づく。「考えたいところ」以降は筆者の見方である。

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